
「広告で見た」より「誰かのレビューで知った」。そんな声を、私たちは運用支援の現場で本当によく聞きます。特に20代女性のお客様は、企業からの発信をそのまま信じるのではなく、「それを言っているのは誰か」を確かめてから財布を開く傾向が強いなと感じています。SNSで検索し、レビューを読み込み、気になるインフルエンサーの投稿をチェックしてから、ようやく購入ボタンに手が伸びる。そんな行動が当たり前になってきました。この記事では、20代女性の購買行動を動かしているレビュー・UGC・インフルエンサーとの付き合い方を、私たちの実務目線で整理していきます。
うちのチームがEC店舗やSNSの運用を見ていて感じるのは、20代女性のお客様の購買行動が、数年前とはっきり変わってきているということです。まず商品ページの写真や説明文だけで購入を決めることはほとんどなくて、購入ボタンを押す前にほぼ毎回、別の場所を経由しています。
たとえばECモールのレビュー欄。星の数だけでなく、実際に書かれた文章、特に「サイズ感」「使ってみた感想」「届いてからの変化」といった生活に近い言葉を探しています。次にInstagramやTikTokでのハッシュタグ検索。ブランド名や商品名で検索して、企業の公式投稿ではなく、一般の人が投稿した写真や動画を見に行く人がすごく多いんです。そしてインフルエンサーの投稿。フォロワー数の多い有名人というより、自分と価値観が近いと感じる人、いわゆる「信頼できる先輩」のような立ち位置の人の紹介を参考にしている印象があります。
面白いのは、これらをひとつだけで済ませる人が少ないということです。レビューを読んで気になったら、今度はSNSで同じ商品を検索してみる。インフルエンサーの投稿を見て気になったら、今度はECモールのレビューで裏付けを取る。ひとつの情報源だけで決めるのではなく、複数の「誰かの声」を渡り歩きながら、少しずつ納得感を積み上げていくような買い方をしているんですよね。
気になった投稿やレビューをその場では決めきらず、いいねや保存機能でいったん残しておいて、あとから見返しながら比較する人も多い印象があります。その場の勢いで決めるというより、じっくり時間をかけて「誰かの声」を集めてから決める、ゆっくりとした購買行動そのものを前提に設計しておく必要があるんですよね。
具体的な行動として見えてくるのは、気になる商品を見つけたら、まずその場でブランド名や商品名をコピーしてInstagramの検索窓に貼り付けてみる、といった小さな動作の積み重ねです。検索結果に出てきた投稿を上から順にタップして、写真だけでなくコメント欄まで目を通し、同じ商品について書いている人が他にいないかを確認する。気になるレビューがあれば、そこに書かれていた特徴的なフレーズをそのままコピーして、今度は別のモールで検索してみる。ブラウザのタブをいくつも開いたまま、レビューとSNSの投稿を交互に見比べている、という状態が今の20代女性のお客様にはごく普通の行動なんですよね。こうした「ひとつの画面で終わらせない」動き方こそが、今の購買行動を形づくっている実感があります。
この動きは、SNSがきっかけで実店舗に足を運ぶという行動にもつながっています。20代女性が実店舗に来る理由——SNSがきっかけになる導線設計でも触れていますが、オンラインで見た「誰かの声」がオフラインの来店動機になる、という流れは今の20代女性の購買行動を理解するうえで欠かせない視点だと思っています。
ここで大事なのは、これは単に「今の若い人はSNSが好きだから」という話ではないということです。もう少し構造的に見ると、企業からの発信は「売りたい人が言っている」という前提を、見る側がどうしても意識してしまうんですよね。良いことしか言わないんじゃないか、盛っているんじゃないか、という警戒心は誰にでも自然に働きます。
一方で、レビューを書いている人や、SNSで紹介している一般の人、インフルエンサーは、企業側と比べると「売る側の利害」が薄いと受け取られやすい立場にいます。しかも良い点だけでなく、サイズが大きかった、使い方に少しクセがあった、といった「ちょっとした不満」も一緒に書かれていることが多くて、それがむしろ信頼につながっているように見えます。完璧すぎる情報より、少し粗のある実体験の方が「本当のことを言っている」と受け取られやすいんです。
もうひとつ大きいのが、「自分に近い人の声かどうか」という距離感です。同じ商品でも、体型や年代、暮らし方が自分と近い人の感想の方が、参考にしやすいと感じるのは自然なことですよね。企業からの発信はどうしても「不特定多数向け」の言葉になりがちですが、UGCやインフルエンサーの発信は「わたしと似ている誰か」の言葉として届きやすいという違いがあります。
これは、商品ページそのものの作り込みとは別軸の話でもあります。購買者の7割は女性。女性脳で作った商品ページが売れる本当の理由ではページの見せ方について書きましたが、ページがどれだけ魅力的に作られていても、そのページの外側にある「誰かの声」が薄いと、20代女性のお客様は最後の一歩を踏み出しにくいというのが、私たちが現場で感じている実感です。
逆に言うと、レビューやSNSでの言及がほとんどない状態は、20代女性のお客様にとってはむしろ気になるポイントになりかねません。商品自体に問題がなくても、「誰も声を上げていない」という状態そのものが、購入の後押しにはなりにくいんですよね。だからこそ口コミやUGCは、「あれば嬉しいおまけ」ではなく、購入の意思決定に直結する要素として扱っておきたいところです。新規のお客様だけでなく、購入を迷っているタイミングでもう一押しが欲しい方にとっても、口コミの有無は小さくない影響を持っていると私たちは考えています。
UGCや口コミが増えていくと、ブランドにとって何が変わるのか。ここは数字で示すのではなく、私たちが現場で感じている手触りとして伝えたいところです。
まず、購入を迷っている人の不安が減ります。レビューや投稿の中に、自分と同じ悩みを持っていた人が使ってみてどう感じたかが見えると、購入前の「最後の迷い」がやわらぐ場面をよく見かけます。次に、既存のお客様のブランドへの愛着が強まっていきます。自分の投稿がブランドに取り上げられたり、レビューに返信をもらえたりすると、「見てもらえている」という感覚が生まれて、単なる購入者からファンに近い関係に変わっていくんですよね。
もうひとつ見逃せないのが、UGCそのものがブランド側にとってのヒントになるということです。想定していなかった使い方や、思いがけない褒められ方をしているレビューは、次の商品ページの見せ方やSNSの発信内容を考えるうえでの、とても実用的な材料になります。UGCは「集める」だけのものではなく、「読み込んで活かす」ところまでがワンセットだと私たちは考えています。
UGCと聞くと、SNSに投稿された写真や動画をまず思い浮かべる方が多いと思うんですが、実際に「誰かの声」が生まれる場所はもっと広いんですよね。たとえば実店舗での接客。スタッフとの会話が良かった、丁寧に相談に乗ってもらえた、という体験は、そのままSNSやレビューに書かれる「ネタ」になります。オンラインで完結するブランドであっても、電話や問い合わせ対応、配送時のひと工夫といった接点はすべて、誰かが誰かに話したくなる体験の種になっているんです。
だからこそ、UGCを増やしたいときに真っ先にSNS担当だけで考えてしまうのは、少しもったいないなと思うんです。接客をしているスタッフや、問い合わせに対応しているカスタマーサポートのメンバーが、「今の対応がそのまま口コミになるかもしれない」という意識を持っているだけで、日々の接点の質が変わってくることがあります。
スタッフがブランドになる——実店舗の「人」でリピーターを生む接客ブランディングで書いたように、スタッフ一人ひとりの対応がブランドの印象を作っているのと同じで、UGCも結局は「どんな体験をしたか」の延長線上に生まれるものだと思っています。口コミを増やしたいときに、SNS施策だけを見てしまうのはちょっともったいなくて、接客や配送、問い合わせ対応まで含めた「体験全体」を振り返ってみることをおすすめします。
「良い体験をしていれば自然に口コミが生まれる」というのは半分正解なんですが、実際には仕組みがないと埋もれてしまうことが多いです。私たちが運用支援の中でよく提案しているのは、次のような取り組みです。
商品到着後のタイミングでメールやLINEでレビューを依頼するのは基本ですが、ただ「レビューをお願いします」と送るより、「サイズ感や使ってみた感想を教えてください」のように、書く内容のヒントを添えると投稿率が上がりやすい印象があります。特典をつけてお願いする場合は、レビューの見返りであることが分かるようにきちんと明示しておくことも大切なポイントです。依頼を送るタイミングも地味に効いてくるところで、届いた直後よりも少し使ってから届く方が「使用感」を書きやすく、1回送って反応がなければ数日後にもう一声だけ添えてみると、投稿率が変わってくる印象があります。
ブランド独自のハッシュタグを用意して、購入した人が写真を投稿しやすい状態を作っておきます。これは「投稿してください」と一度言うだけでは広がりにくいので、パッケージや同梱物にハッシュタグを載せておく、投稿してくれた人を公式アカウントで紹介する、といった小さな積み重ねが効いてきます。ハッシュタグは短くて打ちやすいものにしておくと投稿する側の手間が減りますし、紹介するときに毎回同じような構図やコメントで終わらせず、投稿してくれた人の言葉をそのまま引用して紹介すると、次に投稿する人へのお手本にもなります。
すでに投稿されているUGCを見つけて、本人の許可を取ったうえで公式のSNSやECページに掲載する方法もあります。ゼロから作るのではなく、すでにある「誰かの声」を丁寧に拾いに行くという発想です。女性脳がECを制する理由でもEC全体の女性向けマーケティングについて触れていますが、UGCの土台になるのも結局はお客様一人ひとりとの関係づくりだと思っています。許可を取るときは掲載する場所や使い方まで具体的に伝えておくと後々のトラブルを避けやすく、掲載後にお礼の一言を送っておくと、その人がまた別の投稿をしてくれるきっかけにもなります。
サイトの中に、UGCをまとめて見られるページやコーナーを作っておくのもおすすめです。SNS上で散らばっている投稿を、商品ページやブランドサイトの一角に集めておくことで、わざわざSNSを検索しなくても「誰かの声」に触れられる状態を作れます。数を無理に揃えようとせず、質のいい投稿から少しずつ増やしていくくらいで十分だと思っています。商品ページの購入ボタンの近くに置いておくと、比較検討している真っ最中のお客様の目に触れやすくなりますし、カテゴリーやシーンごとに投稿を分けておくと、自分に近い使い方をしている人の声を見つけやすくなります。
そして意外と後回しにされがちなのが、投稿してくれた人へのリアクションです。いいねやコメント、リポストといった小さな反応を丁寧に返していくことで、「投稿したら見てもらえる、反応がある」という体験が積み重なり、次の投稿につながりやすくなります。コメントを返すときはテンプレートのような一言で済ませず、投稿内容に触れた一文を添えるだけで印象がぐっと変わりますし、反応を返すタイミングも投稿から時間が空きすぎないほうが「見てもらえている」という実感につながりやすいです。仕組みを作ることと、作った仕組みを丁寧に運用し続けることは、どちらも欠かせない両輪だと思うんです。
インフルエンサーに紹介してもらうこと自体は、20代女性の購買行動に強く働きかける手段のひとつです。ただ、ここで欠かせないのが「PR」であることの明示です。景品表示法やステルスマーケティングに関する規制もあり、広告であることを隠して紹介してもらう手法は業界全体で厳しく見られるようになっています。PRだと分かった上で紹介されている情報でも、内容に納得感があれば十分に信頼されるので、隠す必要はそもそもないというのが私たちの考え方です。具体的には、キャプションの末尾にハッシュタグを添えるだけでなく、動画や投稿の冒頭で「〇〇さんから提供いただきました」と一言添えてもらうくらいの明示の仕方が、20代女性のお客様には自然に受け取られやすいと感じています。
もう一つ大事なのが相性の見極めです。フォロワー数の多さだけで選んでしまうと、ブランドの雰囲気と紹介の仕方がズレてしまい、見ている人にも「なんとなく合っていない」という違和感が伝わってしまいます。普段からその人がどんな言葉を使っているか、どんなトーンで発信しているかを見て、自社のブランドと自然に馴染むかどうかを確認しておきたいところです。たとえば普段から丁寧な言葉づかいで発信している人に、勢いのあるくだけたトーンの紹介文を渡してしまうと、そこだけ浮いて見えてしまうことがあります。20代女性に伝わるブランドトーンの作り方で整理したブランドトーンと、インフルエンサーごとの発信トーンを並べて見てみると、相性の良し悪しが分かりやすくなると思います。
台本を細かく決めすぎず、その人の言葉で話してもらう余白を残しておくことも意識したいポイントです。台本通りの紹介は、20代女性の目には「広告っぽさ」として映りやすく、せっかくのインフルエンサー起用が企業からの発信と同じ扱いになってしまうこともあるからです。
台本は用意しない一方で、商品の情報やブランドが大事にしている考え方はきちんと共有しておくことも欠かせません。情報が足りないまま「良さを伝えてください」とお願いしてしまうと、紹介の内容が浅くなったり、ブランドの意図とズレた紹介になったりしやすくなります。正確な情報を渡したうえで、そこから先は本人の言葉で自由に話してもらう。このバランスを意識しています。たとえば成分や使い方の細かいポイントは資料でしっかり共有しつつ、「どう感じたか」「誰にすすめたいか」といった部分は本人の体験や言葉に委ねる、といった役割分担がわかりやすいと思います。
フォロワー数がとても多い人よりも、フォロワーとの距離が近い、いわゆるマイクロインフルエンサーの方が、20代女性のお客様にとっては「知り合いに近い誰かの声」として受け取られやすい場面も多いなと感じています。一回きりの紹介で終わらせず、気に入ってもらえたブランドとは継続的にやりとりを続けていく方が、紹介のたびに信頼を積み重ねやすくなるはずです。
最後に、特別なツールがなくても今日から始められるチェック方法を紹介します。
自社のブランド名や商品名でSNS内検索をしてみることです。Instagramのハッシュタグ検索やキーワード検索で、公式が把握していない投稿がどれくらいあるか確認してみてください。想像より投稿されていることもあれば、想像より少ないこともあって、どちらの結果もそのあとの施策の材料になります。検索するときはブランド名だけでなく、商品の通称や表記ゆれ、絵文字を絡めた言い方でも試してみると、公式の検索ワードでは引っかからなかった投稿が見つかることがあります。
楽天やAmazon、Yahoo!ショッピングといったECモールのレビュー欄を、星の数だけでなく文章まで読み込むことです。同じような指摘が複数のレビューで繰り返されていないか、逆に何度も褒められているポイントは何かを見ていくと、UGCとして広げやすい「強み」と、先に手を打っておきたい「弱み」の両方が見えてきます。星3〜4の中間評価のレビューほど良い点と気になる点の両方が具体的に書かれていることが多いので、優先して読み込んでおくのがおすすめです。
直近の問い合わせやカスタマー対応の記録を振り返ることです。レビューやSNSに出てこないだけの「声」がここに眠っていることも多くて、UGCの種として意外と見落とされがちな場所なんですよね。同じ質問が繰り返されていないかという視点で読み返すと、レビュー依頼の文面やサイト内の説明に反映すべきヒントが見つかりやすくなります。
過去に実施したタグ付けキャンペーンやレビュー依頼の履歴を振り返ることです。どんな声かけの仕方だと投稿してもらえたか、どんな特典やタイミングだと反応が良かったかを見返しておくと、次に仕組みを作るときの精度が上がっていきます。投稿数だけでなく、投稿してくれた人がどんな言葉で紹介してくれていたかまで見返すと、次のキャンペーンの声かけ文面にそのまま活かせるヒントが見つかります。
この4つを月に一度でも眺める時間を、まずは作ってみましょう。チェックした結果、思ったよりUGCが少ないと感じたときも、焦る必要はありません。まずは仕組みをひとつ整えてみて、その反応を見ながら次の一手を考えていくくらいの気持ちで十分だと私たちは思っています。
20代女性の購買行動は、企業がどれだけ丁寧に発信しても、それだけでは動かないところまで来ています。レビュー、SNSでの口コミ、インフルエンサーの紹介——これらはすべて「誰が言っているか」という信頼の設計の一部だと私たちは考えています。一つひとつの声は小さく見えても、積み重なっていくと、企業がどれだけ言葉を尽くしても伝えられない説得力を持つようになっていきます。
大切なのは、UGCやインフルエンサーを「バズらせるための施策」として単発で終わらせないことです。良い体験を作る、声が生まれる、その声を丁寧に拾って広げる、というサイクルを、ブランドトーンや接客の姿勢と地続きで作っていくことが、20代女性に選ばれ続けるブランドへの近道だと感じています。派手な施策よりも、こうした地味な積み重ねの方が、長い目で見たときのブランドへの信頼を育てていくものだと私たちは思っています。
私たちがここ最近「20代向けブランディング」という軸を強めているのも、こうした信頼の作り方が今の20代女性の消費行動の土台になっていると感じているからです。私たちトゥエルブは、EC運用とSNS運用を横断しながら、20代女性に向けたブランディングを支援しています。レビューの集め方から、SNSでのUGC設計、インフルエンサーとの付き合い方まで、どこから手をつければいいか分からないという場合も、まずは今の状況を一緒に整理するところからお手伝いできればと思っています。
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