
これ、EC事業をやっている中小企業からよく相談される話なんです。
「先月の売上は過去最高だったのに、今月の仕入れ代金が払えるか不安」——感覚的にはおかしいように見えて、実はEC特有の構造から来ている問題なんですよね。
売上と手元のお金(キャッシュ)は、必ずしも連動しません。売上が計上されても、実際にお金が入ってくるまでに時間差があるからです。この「時間差」がEC事業では特に大きくなりやすい。
私たちは、売上数字よりも先にキャッシュフローを確認するクセをつけてほしいとお伝えしています。売上は成果の指標、キャッシュは会社の生死の指標——そのくらい重要なんです。
なぜECでキャッシュが詰まりやすいのか。主な原因を見ていきましょう。
楽天市場やAmazonは、売上が入金されるまでに一定の期間があります。楽天の場合、月2回の締めに対して入金まで数週間のタイムラグがある。その間も仕入れや広告費の支払いは続きます。
売上が伸びるほど仕入れ量も増え、支出が先行する構造が生まれます。これが「売上は増えているのにキャッシュがない」状態の正体なんです。
ECで売れ筋商品が出てくると、欠品を避けるために在庫を多めに持ちたくなります。ただ、在庫はお金を「物」に変えている状態です。売れるまでの間、そのお金は手元に戻ってきません。
在庫回転率が下がると、どんどんキャッシュが在庫に変換されていって、気づいたら手元資金がほとんどない——という事態になりやすいんです。
楽天RPPやAmazon広告は、前払いまたは月末締めの後払い。売上の入金より広告費の支払いが先になるケースもあります。特に商戦期(スーパーSALEやプライムデー等)に広告費を増やすと、一時的にキャッシュアウトが大きくなります。
| キャッシュアウト要因 | タイミング | 対策 |
|---|---|---|
| 仕入れ・製造コスト | 販売前(先払い) | 在庫回転率を最適化・小ロット発注 |
| 広告費(RPP等) | 月末〜翌月初 | 予算上限を設定・ROASで管理 |
| モール手数料 | 売上から差し引き | 手数料込みの利益率シミュレーション |
| 売上入金 | 販売後2〜4週間後 | 早期入金オプションの活用を検討 |
EC事業のキャッシュ管理で、私たちが必ずクライアントと一緒に確認する数字があります。
「在庫が何日分あるか」を常に把握してください。目安として、30〜60日分を超えてくると、在庫に資金が拘束されすぎているサインです。売れ筋・死に筋の仕分けを定期的にして、死に筋商品は早めに値引きしてでも現金化することが大切なんです。
広告費が売上の何%を占めているかを月次で追いましょう。10%を超えてくると利益への圧迫が大きくなります。私たちが支援するクライアントでは、平均3〜5%を目標にしていることが多いです。
「来月末の手元資金がいくらあるか」を、今月末に予測できるようにすることが目標です。売上予測 × 入金タイミング − 支出計画——このシンプルな計算を毎月やるだけで、資金ショートのリスクを事前にキャッチできます。
Excelで十分です。難しいツールは必要ありません。まず「見える化」することが最初の一歩なんです。
私たちが支援したアパレル系のEC事業者のケースをご紹介します(数値は概算・匿名化しています)。
月商約300万円規模で、広告費率が12%ほどあり、毎月仕入れ代金の支払いに余裕がない状態でした。「売上は伸びているのに、なぜかお金が厳しい」という典型的な状況です。
支援で取り組んだこと:
結果として、売上規模はほぼ変わらないまま、手元キャッシュが月次で約40万円改善しました。売上を増やすよりも、お金の流れを整えることの方が、短期間で効果が出るケースは少なくないんです。
売上は大事です。でも売上が上がっていても、キャッシュが底をついたら会社は止まります。
EC事業は、入金のタイムラグ・在庫拘束・広告前払いという3つの構造的な理由で、キャッシュが詰まりやすいビジネスモデルです。だからこそ、月次でキャッシュを「見える化」することが、経営の安定につながるんです。
「売上は追うけど、キャッシュは追っていなかった」という方は、ぜひ今月から始めてみてください。難しいことはしなくていいです。まず「来月末に手元にいくらあるか」を予測するだけで、見える景色が変わります。
キャッシュフロー改善や、EC事業の収益構造の見直しについて、一緒に考えさせてください。
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