
楽天だけでは売上の天井が見えてきたので、Yahoo!にも出店した。Amazonでも売ってみることにした。自社サイトも作った——気づけば4つのモールを一人で見ることになっていた、というお店は少なくないと思います。それぞれのモールは魅力的な販路ですが、運用する側の負担は、モールが増えるごとに単純な足し算では済まなくなっていきます。この記事では、複数モール運用の負担がどこから生まれるのか、そしてその負担をどう軽くできるかについて整理していきます。
「モールを分散させてリスクを減らそう」「販路を増やして売上の天井を上げよう」というアドバイスは、EC業界ではよく耳にします。実際、複数モールへの展開は合理的な戦略です。ただ、その裏側にある「運用する人の負担が増える」という話は、あまり語られません。
戦略としては正しくても、実行する体制が伴っていなければ、絵に描いた餅になってしまいます。私たちはこれまで、複数モールに出店したものの、実質的に運用が回っていないお店をたくさん見てきました。
特に一人体制、あるいは兼任でECを見ているお店にとって、この負担は深刻です。専任担当者が複数人いる会社であれば、モールごとに担当を分けるという対処もできますが、一人で全てを見なければならない場合、この分担そのものができません。結果として、時間が足りないという問題が、モールを増やすたびに悪化していきます。
モールが1つから2つに増えると、負担は単純に2倍になるわけではありません。それぞれのモールで管理画面の使い方が違い、広告の仕組みが違い、クーポンのルールが違います。1つのモールに慣れるための学習コストが、モールの数だけ発生するため、負担は掛け算に近い形で増えていきます。
さらに、モールごとに数字を確認する時間も必要です。4つのモールを見ているなら、単純に確認作業だけで4倍の時間がかかります。しかも、それぞれのモールの数字を横並びで比較しようとすると、画面を行き来しながら手元でメモを取る、といった余分な作業まで発生します。
複数モールを運用しているお店でよく見られるのが、「一番手のかかるモールに時間を取られて、他のモールが放置される」というパターンです。楽天の管理に追われて、Amazonや自社サイトのアクセス解析すら見る時間がない、というお店は珍しくありません。
放置されたモールは、当然売上も伸び悩みます。せっかく出店したのに、実質的に運用できていないモールがある、という状態は、コストばかりかかって成果につながらない典型的なパターンです。
| モール数 | 確認作業の目安時間 | 放置リスク |
|---|---|---|
| 1モール | 基準(1倍) | 低い |
| 2モール | 2倍以上(比較作業が加わる) | 中程度 |
| 3〜4モール | 3〜4倍以上 | 高い(優先度の低いモールが放置されがち) |
こうして整理すると、モールの数が増えるほど、単純な作業時間だけでなく「放置されるリスク」自体が高まっていくことが分かります。負担は徐々にではなく、ある時点から急激に重くなる傾向があると感じています。
複数モールの数字を一箇所で見られる分析ツールは既にいくつも存在します。ただ、これらのツールの多くは「見える化」までで止まっていて、「じゃあ結局どのモールに、今週何をすればいいか」までは教えてくれません。自社ECサイトとモールの使い分けを考える上でも、単に数字を並べて見るだけでなく、そこから次の一手を導き出す部分が本当に必要なところだと感じています。
複数モール運用の負担を軽くする第一歩は、データを一箇所にまとめることです。ただし、まとめるだけでは不十分で、その先の「どのモールを優先すべきか」「今週どこに手をつけるべきか」という判断まで含めて自動化できて初めて、負担は本質的に軽くなります。
私たちが開発しているEC運用アシスタント「BEE」は、楽天・Yahoo!ショッピング・Amazon・Shopify・自社サイトのデータを横断して見られる設計にしています。それぞれのモールのデータを自動で取得し、毎週の優先順位づけの中に、どのモールで何をすべきかまで含めて提示します。管理画面を一つずつ開いて回る作業自体を減らすことを狙っています。
「BEEに聞く」機能でも、モールをまたいだ質問に答えられます。「楽天とYahoo!、どちらに力を入れるべきか」といった、複数モールを比較する質問にも、それぞれの実績データを踏まえて回答する形にしています。
データの取得についても、モールごとにAPI連携・CSV取り込み・スクリーンショット読み取りと、対応方法を分けています。全てのモールで同じ水準の自動化ができるわけではありませんが、できる範囲は最大限自動化し、難しい部分は簡単な取り込み作業で済むようにする、というのが基本的な考え方です。
複数モールを横断して見る際に気をつけているのは、モールごとの特性を無視して単純に数字を合算しないことです。楽天とAmazonでは、顧客の購買行動も、効果的な施策の傾向も異なります。横断して見るというのは、数字を一つにまとめることではなく、それぞれの違いを保ったまま、比較しやすい形で並べることだと私たちは考えています。
運用の負担が軽くなると、新しいモールへの挑戦に対する心理的なハードルも下がります。「今でも手一杯なのに、これ以上モールを増やせない」という状態から、「負担が増えないなら試してみよう」という状態に変わることで、販路拡大の選択肢が広がるという副次的な効果も期待できると考えています。
実際、多くのお店が新しいモールへの出店を検討しながらも、「今の運用で手一杯だから」という理由で見送っているという声をよく聞きます。運用の負担そのものを軽くすることは、単に今の業務を楽にするだけでなく、将来の成長の選択肢を広げることにもつながると私たちは考えています。
できます。既存のモールのデータを接続していただければ、その時点からのデータをもとに優先順位づけが始まります。
API連携が難しいモールについては、CSVやZIP、あるいは管理画面のスクリーンショットをそのまま読み込ませる方法を用意しています。無理に全てを自動連携させる必要はありません。
複数モール展開は、正しく運用できれば売上の天井を上げる有効な戦略です。ただ、運用する人の負担が伴わなければ、その戦略は絵に描いた餅になってしまいます。モールを増やす前に、あるいは増やした後にでも、負担なく横断して見られる仕組みを整えることが、複数モール展開を機能させる鍵だと私たちは考えています。
「モールが増えるたびに手が回らなくなっている」と感じている方は、一度BEEのデモで、横断管理の実際の画面を見ていただければと思います。
楽天・Yahoo!・Amazon・Shopifyのデータから、今週やることを根拠つきで。
承認するだけで販促まで動く、EC運用アシスタント「BEE」です。