
新しく入ったスタッフにEC運用を教えることになったけれど、何から教えればいいか分からない——そんな悩みを抱える店長さん、担当者の方は多いと思います。マニュアルを渡しても読んでもらえない、OJTで教えようにも自分の仕事で手一杯、外部のEC講座は一般論ばかりで自社の商品には当てはまらない。この記事では、EC未経験の人材をどう育てるかという課題と、「自分の店の数字」を教材にするという新しい学び方について整理していきます。
EC運用は、覚えることが本当に多い仕事です。楽天・Yahoo!・Amazon・自社サイトそれぞれの管理画面の使い方、広告の基本、クーポンの組み方、商品ページの直し方、レビューへの対応——どれも独立した知識であると同時に、互いに関連し合っています。採用・育成にかかるコストの記事でも触れましたが、教える側の負担も決して軽くありません。
多くのお店では、教える人自身も日々の業務に追われていて、体系立てて教える時間を確保するのが難しいのが実情だと思います。結果として、新人は見よう見まねで覚えていくしかなく、独り立ちまでに想定より長い時間がかかってしまいます。
さらに厄介なのは、教える内容が担当者によってバラバラになりがちなことです。前任者から引き継いだ我流のやり方がそのまま次の世代に伝わり、なぜその方法を取っているのかという理由が失われていく——ということも起こります。結果として、非効率なやり方がずっと引き継がれてしまうケースも少なくありません。
また、EC担当者は一人体制であることが多く、教える人がそもそも社内にいないお店も多いと思います。この場合、新人は独学で覚えるしかなく、正しいのかどうかも分からないまま手探りで進めることになります。
丁寧に作られたマニュアルがあっても、実際の業務と結びつかないまま読むと、ただの文字の羅列にしか感じられないことが多いです。覚えるべき情報量が多すぎて、読んだそばから忘れていく、という声もよく聞きます。
実際の業務をやってもらいながら教えるOJTは効果的な方法ですが、教える側が常に横についている必要があり、教える人自身の業務時間を圧迫します。教える人が忙しい時期には、この時間が真っ先に削られてしまいます。
外部のEC運用講座やセミナーは、一般論としての知識を体系的に学べる良さがありますが、教材で扱われる事例が自社の商品やお店の状況と一致するとは限りません。学んだことを自分の店にどう当てはめればいいか、結局自分で考える必要が出てきます。
こうした限界を整理していくと、一般論としての知識を教えるだけでなく、自分の店の実際のデータを教材にして学ぶ方が、記憶に残りやすいのではないかという発想にたどり着きました。「先月の売上」「自社の転換率」「実際に打った施策の結果」——これらは、他所で学んだ一般論よりも、はるかに自分事として受け止めやすい教材です。
自分の店の数字が教材になっていれば、学んだ内容がそのまま明日の業務に直結します。一般論を学んでから自社に当てはめる、という変換作業自体が不要になるわけです。
| 教育方法 | 教える側の負担 | 自社への当てはめやすさ |
|---|---|---|
| マニュアル | 作成・更新に手間がかかる | 低い(一般論中心) |
| OJT | 常に付き添う必要がある | 高い(実務そのもの) |
| 外部のEC講座 | 低い(受講のみ) | 低い(事例が他社) |
| 自店データでの学習 | 低い(自動出題) | 高い(自社の数字そのもの) |
こうして並べると、「教える側の負担が低い」ことと「自社への当てはめやすさが高い」ことを両立できる方法が、これまであまり無かったことが分かります。OJTは当てはめやすい一方で負担が重く、外部講座は負担が軽い一方で自社への応用が難しい。この両立を目指したのが、自店データを教材にする学習方法です。
私たちが開発しているEC運用アシスタント「BEE」には、「今日の1問」という学習機能があります。1日1問だけ出題される形式で、問題は必ずその店の実際の数字から作られます。一般論のクイズであれば他のサービスでも学べるので、あえてそこは扱わず、自分の店のデータだからこそ意味がある問題だけを出す設計にしています。
1日1問という量にしているのは、負担を大きくしすぎないためです。毎日の業務の合間に、無理なく続けられる分量を意識しています。まとめて何十問も出されると、結局後回しにされてしまうことが多いと考え、あえて少量を毎日続ける形にしました。
出題される内容は、売上の推移、広告の効果、クーポンの結果など、実際にその店で起きたことを題材にしています。答え合わせの際には、なぜその答えになるのかという理由も一緒に表示されるので、間違えたときにもそのまま学びにつながる設計にしています。
「今日の1問」に答えるとポイントが貯まる仕組みにしています。貯めたポイントは、バナー制作や商品ページ改善、AI相談の追加といった機能と交換できます。学習すること自体に、業務に直結するメリットがある形にしたいと考えたためです。
中でも、5,000ポイントで「お店専用の機能を作る」に交換できる仕組みは、この学習機能の中でも特徴的な部分です。使い続けるほど、BEE自体がそのお店に合わせた形に近づいていく、という設計にしています。
ポイントの使い道を実務に直結するものにしているのには理由があります。学習した先に何があるのか分からないままだと、続ける動機を保つのが難しいからです。バナー制作や商品ページ改善に交換できるという分かりやすいメリットがあることで、学習を継続する理由がはっきりします。
この仕組みが変えるのは、学ぶ側だけではありません。教える側にとっても、体系立てたカリキュラムを毎回一から作る必要がなくなります。日々の業務データから自動で問題が作られるので、教育担当者が問題作成に時間を割く必要がない、という点も負担軽減につながると考えています。
教える側が今まで担っていた役割の一部——「何を教えるか決める」「進捗を把握する」——を仕組みの側に任せられるようになると、教える側は「新人がつまずいているところを個別にフォローする」という、人にしかできない部分に集中できるようになります。役割分担が変わることで、結果的に教育全体の質が上がると私たちは考えています。
この学習方法の特徴は、実務から切り離された「勉強の時間」を別に作るのではなく、日々の業務そのものが学習教材になっている点です。BEEの「今週やること」で提示される打ち手の理由を読み解くこと自体が、実は一番実践的な学びになっていると私たちは考えています。分からないことがあれば「BEEに聞く」で直接質問することもできるので、学習と実務が地続きになっている状態を目指しています。
「勉強してから実務に入る」という順番だと、覚えたことを実際に使う場面が来るまでにタイムラグが生まれ、忘れてしまうことも多いと思います。実務と学習が同時並行で進む形であれば、学んだ内容をすぐにその日の判断に活かせるので、記憶への定着もしやすくなると考えています。
すでにEC運用に詳しいベテランの担当者にとっては、「今日の1問」の教育的な価値はそれほど大きくないかもしれません。ただ、貯まったポイントを自社専用の機能開発に使えるという点は、経験の有無にかかわらずメリットになると考えています。
問題は実際のデータから機械的に作られるため、難易度は毎回変わります。分からない問題があれば、正解と一緒に理由も表示されるので、そこで初めて学べる形にもなっています。
複数人がそれぞれ問題に答えて、ポイントを貯めていく形を想定しています。誰か一人が学べば済むわけではなく、チーム全体でお店の数字への理解を深めていただける仕組みです。
出題にはある程度のデータの蓄積が必要になるため、開設直後は出題できる問題の幅が限られることがあります。データが蓄積されるにつれて、問題の幅も広がっていきます。
EC未経験の新人教育は、これまで「教える人の時間」を大きく必要とする作業でした。この負担を、日々の業務データを教材にすることで、教える側の負担を抑えながら進められないか、というのが私たちの考えです。
採用してもすぐに独り立ちできない、教える人がいない、教育に時間を割く余裕がない——こうした悩みは、EC担当者の採用そのものを難しくしている一因でもあります。教育のハードルが下がれば、採用のハードルも結果的に下がっていくはずだと私たちは考えています。
「新人に何を教えればいいか分からない」「教える時間が取れない」と感じている方は、一度BEEのデモで、この学習の仕組みを見ていただければと思います。
楽天・Yahoo!・Amazon・Shopifyのデータから、今週やることを根拠つきで。
承認するだけで販促まで動く、EC運用アシスタント「BEE」です。