
先月の売上が落ちていた。そんなとき、多くの店長さんはまず「自分の運用の何が悪かったのか」を考えると思います。商品ページの見せ方が悪かったのか、広告の運用が甘かったのか、対応が遅かったのか——自分を責める方向に考えが向きがちです。ただ、実際に振り返ってみると、自社の運用には問題がなく、モール全体や市場全体の動きが原因だった、というケースも少なくありません。この記事では、売上が落ちたときに「自社だけの問題か、市場全体の動きか」を見分ける視点について整理していきます。
EC担当者は、売上という分かりやすい数字と日々向き合っています。だからこそ、数字が落ちると「自分の対応が悪かったのではないか」とまず考えてしまうのは、ある意味自然な反応だと思います。EC担当者が孤独になりやすい理由にも書きましたが、相談できる相手がいない環境では、この自己責任的な考え方がより強くなりがちです。
ただ、原因を正しく特定できないまま「自分が悪い」と結論づけてしまうと、本来必要な打ち手とは違う方向に努力してしまうことになります。これは精神的な負担が大きいだけでなく、実務上も非効率です。
実際に振り返ってみると、季節性の強い商品ジャンルでは、担当者の努力とは無関係に、毎年同じ時期に売上が落ち込むということもよくあります。この場合、必要なのは「落ち込みを止める努力」ではなく「落ち込む時期をあらかじめ織り込んだ計画」だったりします。原因を誤って自己責任に帰属させてしまうと、こうした本来の打ち手にたどり着けません。
売上が落ちる原因は、大きく分けて「自社固有の問題」と「市場・モール全体の動き」の2種類があります。自社固有の問題であれば、商品ページの改善や広告の見直しといった、自店でコントロールできる打ち手が有効です。一方、市場全体が落ち込んでいる時期であれば、無理に広告費を増やしても、市場全体の縮小には抗えず、コストだけがかさむ結果になりがちです。
この2つを取り違えると、本来なら様子を見るべき場面で無駄なコストをかけてしまったり、逆に本当は改善が必要な場面で「市場のせい」と結論づけて対処を怠ってしまったりします。原因の切り分けは、次の一手の方向性そのものを左右する重要な判断です。
| 原因 | 有効な打ち手 | 効果が薄い打ち手 |
|---|---|---|
| 自社固有の問題 | 商品ページ改善・広告見直し | ただ待つこと |
| 市場・モール全体の動き | 位置取りの維持・時期を待つ | 広告費の増額 |
| 季節性 | 事前の計画・在庫調整 | その場しのぎの値引き |
こうして並べると、原因ごとに有効な打ち手がまったく異なることが分かります。原因を誤って判断すると、効果の薄い打ち手にコストと時間を投じてしまうリスクがあります。
楽天が公表しているサブジャンルの平均値や、月商規模別の平均値と自店の数字を比較すると、自店だけが落ちているのか、ジャンル全体が落ちているのかが見えてきます。自店の数字だけを見ていては、この比較はできません。
Google トレンドなどで、自社の商品ジャンルに関連する検索需要そのものが落ちていないかを確認することも有効です。検索需要自体が落ちているなら、個々の店舗の努力だけでは補いきれない市場全体の動きが背景にある可能性があります。
前年の同じ時期と比較して、モールの大型セールの有無やタイミングが変わっていないかも確認すべき点です。前年はセール期間に含まれていたのに今年は含まれていない、といった単純な理由で数字が変動することもあります。
見落とされがちなのが、モール側の手数料改定やアルゴリズムの変更です。検索順位のロジックが変わったり、送料の扱いが変わったりすると、これまでと同じ運用をしていても数字が変動することがあります。こうした制度変更は自店の努力とは無関係に発生するため、事前に把握できていないと「なぜか急に落ちた」という状況になりがちです。
私たちが開発しているEC運用アシスタント「BEE」には、「自社だけか、市場全体か」を切り分けるための「市場の動き」という機能があります。複数モールの動きとEC市場全体の検索トレンドを踏まえて、この切り分けを行います。持っていないデータについては断定せず、「分からない」とそのまま伝える設計にしています。
楽天が公表しているサブジャンルの平均値・月商規模別の平均値との比較も、この機能の中で確認できます。自店の数字だけでは見えない、相対的な立ち位置を把握するための材料です。
比較する際、売上やアクセスの絶対数をそのまま比べても、店舗の規模差があるため参考になりません。私たちが実際のデータで確認したところ、規模の違う店舗同士を単純比較すると、実態とかけ離れた結論になりがちでした。そのため、比較には「買われる率」や「注文1件あたりの金額」といった、規模に依存しにくい指標を中心に使う設計にしています。
市場全体の落ち込みが原因だと分かった場合、焦って広告費を増やすのではなく、市場が回復するタイミングを待ちながら、他の店舗との相対的な位置取りを維持することに力を注ぐ方が合理的なことが多いです。逆に自社固有の問題だと分かった場合は、商品ページ、広告運用、価格設定など、具体的などこに手を打つべきかを絞り込んでいく必要があります。
楽天スーパーSALEのようなモールの大型イベントや、手数料改定などの「これから来る予定」を事前に把握しておくことも重要です。予定を知らないまま販促をぶつけてしまい、狙っていたタイミングとずれてしまう、といった事故を防ぐことができます。
例えば、自社で予定していたクーポン施策が、モール側の大型セール期間と重なってしまうと、割引が二重にかかって想定より利益が薄くなる、といったことも起こり得ます。逆に、モールのイベントに合わせて自社の販促を重ねることで、相乗効果を狙うという戦略も立てられます。予定を知っているかどうかで、同じ施策でも結果が変わってきます。
正直にお伝えすると、市場の動きを完璧に予測することはできません。私たちが大切にしているのは、持っているデータの範囲で誠実に判断材料を提供することです。データが不足している部分については「分からない」と伝え、推測で断定的な結論を出さないようにしています。
「分からないことは分からないと言う」という姿勢は、一見頼りなく感じられるかもしれません。ただ、根拠のない予測を断定的に伝えて、後から外れたと分かる方が、長期的には信頼を損なうと私たちは考えています。判断材料として使えるものと使えないものを、はっきり区別してお伝えすることを大切にしています。
できます。楽天が公表しているジャンル平均値や月商規模別の平均値との比較であれば、他の店舗の協力を得なくても、1店舗単独で利用できます。
現状、楽天が公表しているジャンル別の比較データを中心に対応しています。モールごとに公表されているデータの範囲が異なるため、対応状況はモールによって差があります。
売上が落ちたとき、「自分が悪い」と決めつける前に、それが自社固有の問題なのか、市場全体の動きなのかを切り分けることが、次に打つべき手を正しく選ぶための第一歩です。
「売上が落ちた原因が、自分でも分からない」と感じている方は、一度BEEのデモで、この切り分けの視点を確認していただければと思います。
楽天・Yahoo!・Amazon・Shopifyのデータから、今週やることを根拠つきで。
承認するだけで販促まで動く、EC運用アシスタント「BEE」です。