EC戦略2026.08.03TWELVE

EC担当者を採用できないお店へ——「考えて動く」を月額で持つという選択

EC担当者を採用できないお店へ——「考えて動く」を月額で持つという選択

「そろそろEC担当を採用しようか」。そう考えたことがある店長さん、社長さんは多いのではないでしょうか。でも実際に求人を出してみると、応募が来ない。来ても未経験。教える時間もない。気づけば「今のままでいいか」に戻ってしまう——。私たちはEC運用代行の会社として、これまで数えきれないくらいのご相談をいただいてきました。そのうち、実はかなりの数を、私たちはお断りするしかありませんでした。今日はその経験から見えてきた、もう一つの選択肢についてお話ししていきます。

この記事では、EC担当者を採用できない・代行にも頼めないお店が実際にどれくらい多いのか、その背景にある3つの壁、そして「担当者を採用する」でも「代行にお願いする」でもない、第三の選択肢について整理していきます。

「担当者を採用すればいい」が難しい理由

EC担当者を1人採用するとき、給与だけを見て判断してしまいがちですが、実際にかかるコストはそれだけではありません。社会保険料、採用活動そのものの手間、教育にかかる時間まで含めると、想像より重く感じる方が多いんです。採用・育成にかかる本当のコストを一度整理してみると、月換算でかなりの負担になっているケースが多いことが分かります。

求人を出しても応募が来ないという現実

EC運用の求人は、実は応募が集まりにくいジャンルだと言われています。理由は単純で、「EC担当」という職種そのものの認知度がまだ低く、経験者の絶対数も多くないからです。求人媒体に掲載しても反応が薄く、結局知人の紹介やアルバイトからの登用に頼らざるを得ない、というお店の声もよく耳にします。

採用してからも、独り立ちまでに時間がかかる

仮に採用がうまくいっても、すぐに一人前になるわけではありません。楽天・Yahoo!・Amazon・自社サイトそれぞれの管理画面の使い方、広告の基本、クーポンの組み方、商品ページの直し方——覚えることは山ほどあって、独り立ちするまでに数ヶ月かかることも珍しくないんです。教える側の負担も軽くはなく、「教える人」がそもそも社内にいないお店では、この壁はさらに高くなります。育成の途中で辞めてしまい、また一から採用活動をやり直す、というケースも少なくありません。

代行に頼む、という選択肢の壁

それなら運用代行にお願いしよう、という発想もありますよね。実際、代行という選択肢は多くのお店にとって有効な手段です。私たち自身、代行会社として日々お店の運用に入らせていただいています。ただ、代行・コンサルの費用相場を見ていただくと分かる通り、月々それなりの金額がかかる仕組みになっています。

私たちがこれまでいただいてきたご相談の中で、実はこの「予算」の壁で断念されるケースが一番多かったんです。売上規模がまだ小さい、複数モールに手を広げたばかりで先行投資がかさんでいる、季節性が強くて年間を通じて代行費用を出し続けるのが厳しい——理由は様々ですが、共通しているのは「代行を頼めるほどの余裕がまだない」という状況でした。

正直にお伝えすると、私たちはそうしたご相談の多くをお断りするしかありませんでした。売上が伸びてから改めてご相談いただくようお伝えすることもありましたが、本当に支援が必要なのは、実はそういう「まだ伸びる前」のお店だったのではないか、という思いがずっと残っていたんです。

知識がないと、そもそも何を聞けばいいか分からない

採用も代行も難しいなら、分析ツールを入れて自分たちで頑張ろう、と考える方もいらっしゃいます。ただ、ここにも壁があります。分析ツールは基本的に「見える化」はしてくれますが、グラフや数字が増えるだけで、実際に何をすればいいかまでは教えてくれないことが多いんです。数字を前にして「で、結局何をすればいいの」と手が止まってしまう——そんな声を、これまで本当にたくさん聞いてきました。

「AIに聞けばいい」も、実は同じ理由で足りない

最近は「分からないことはAIに聞けばいい」という声もよく聞きます。ただこれも同じ理由で足りないことが多くて、知識がない人ほど、そもそも何を聞けばいいのかが分からないんです。専門用語も分からない、正しい聞き方も分からない状態で「自由に質問してください」と言われても、次の一手にはなかなかつながりません。RPP、ROAS、転換率——用語からすでにつまずいてしまう方も少なくないと感じています。

EC担当者が孤独になりやすい理由にも通じる話ですが、頼れる相手がいないまま一人で抱え込んでしまう構造が、多くのお店にあるように感じています。専任がいるお店ですら孤独を感じやすいのですから、兼任・一人体制のお店であればなおさらだと思います。

「考える部分」だけを切り出すという発想

ここまでの3つの壁——採用のコスト、代行の予算、知識がないための迷い——を整理していくと、一つの気づきがありました。EC担当者の仕事は、大きく分けると「データを見る」「気づく」「次の一手を決める」「実行する」「効いたか確かめる」というサイクルの繰り返しです。このうち、人を雇わないと成立しないと思われがちなのは「決める」の部分ですが、実はここだけを切り出して製品にする、という発想が成り立つのではないかと考えました。

採用・代行・こうした新しい選択肢を並べると、負担のかかり方がそれぞれ違うことが見えてきます。目安として整理すると、次のようになります。

選択肢月あたりの目安知識の要否意思決定の主体
担当者を採用給与+社保等で数十万円規模育成に数ヶ月採用した本人
運用代行に依頼月10万円台〜が目安不要(お任せ)代行会社
分析ツールのみ導入数千円〜数万円自分で読み解く必要あり店舗担当者自身
「決めて出す」アシスタント数万円台が目安不要(理由と根拠つきで提示)店舗担当者(承認のみ)

こうして並べてみると、「知識がなくても使える」「意思決定の負担が軽い」という2つの条件を同時に満たす選択肢が、これまであまり無かったことが分かります。分析ツールは知識を要求し、代行は予算を要求する。その間を埋める場所に、新しい選択肢が入り込む余地があると感じています。

誤解のないようにお伝えすると、これは「採用や代行が不要になる」という話ではありません。むしろ、これまで採用も代行も選べなかった層に向けて、初めて選べる選択肢ができた、という方が近いと思います。将来的に売上が伸びて、専任の担当者を採用したり、代行にお願いしたりする段階に進むこと自体は、とても良いことだと私たちは考えています。今すぐそこに手が届かないお店にとっての、最初の一歩をどう作るか——そこに焦点を当てています。

実際にどう動くのか

私たち自身、この課題を自社のEC運用の中でずっと感じてきました。代行としてお店に入るときも、結局私たちのスタッフが毎朝データを見て、気づいて、次の一手を決めるという作業をしています。それなら、この「見る・気づく・決める」の部分だけを製品として切り出し、外部のお店にも使っていただける形にできないか——そうして生まれたのが、EC運用アシスタント「BEE(Yellow Bee)」です。

仕組みはシンプルです。BEEが毎朝データを見て、今週やるべきことを3つ、理由と根拠の実数値つきで提示します。使う人がすることは、それを見て承認するか、見送るかだけです。専門用語を並べた画面ではなく、「なぜやるのか」「どれくらいの効果が見込めるのか」を日本語で説明してくれる形にしています。

前年同月のデータがまだ揃っていないときは、金額の見込みをあえて出さない設計にしています。根拠のない数字で判断させないためです。楽天・Yahoo!ショッピング・Amazon・Shopify・自社サイトのデータを横断して見られるので、モールをまたいで「今、何が一番効くか」を毎週確認できる状態になります。

現在はベータ版として、創業メンバー価格で月49,800円〜(先着10社・税別。通常価格は月80,000円です)でお試しいただける形にしています。私たち自身が実際のEC運用で使ってきた仕組みを外部のお店に出すのは今回が初めてなので、まずはデモ画面で実際の動きを見ていただくのが一番早いと思います。

どんなお店に向いているか

ここまで抽象的な話が続いたので、もう少し具体的なシーンで考えてみます。私たちがご相談をお断りしてきたお店には、いくつか共通するパターンがありました。

社長・店長が本業の合間にECを見ている

実店舗が本業で、ECは片手間。楽天もYahoo!もAmazonも、気づいたときにしか触れていない——このパターンは本当に多いです。悪いことをしているつもりはなくても、日々の業務に追われて後回しになってしまう。そういうお店にとって、毎朝「今週やること」が向こうから提示される仕組みは、探しに行く手間そのものを無くす効果があると考えています。

事務担当が兼任でECも見ている

経理や総務の担当者が、本来の業務にプラスしてECも見ているケースもよくあります。この場合、EC専門の勉強に割ける時間はほとんどありません。専門用語を調べる時間すら惜しいというのが正直なところだと思います。理由と根拠が日本語で添えられている形は、こうした方にとって特に負担が軽いはずです。

複数モールに出店しているが、手が回っていない

楽天だけ、Yahoo!だけならまだしも、Amazonや自社サイトまで含めると、管理画面を開くだけで一苦労という声もよく聞きます。モールごとに数字を見比べる時間が取れず、結局どこかのモールが放置される——というのは、複数モール展開でよくある悩みです。横断して見られる仕組みがあると、この負担はかなり軽くなると感じています。

始めるときに気になること

新しい仕組みを試すとき、多くの方が気にされるのがデータの扱いだと思います。この点についても、正直にお伝えしておきます。

お店ごとのデータベースはお店ごとに分けて管理する設計にしていますし、モールとAPIで接続する場合は各モールの認証情報を暗号化して扱います。APIでの接続が難しいモールについても、CSVやZIP、あるいは管理画面のスクリーンショットをそのまま読み込ませる方法を用意しているので、無理に全てを自動連携させる必要はありません。読み取った数字は、反映される前に必ず確認画面を経る仕組みにもしています。

なお、現在はベータ版のため、機能の追加や変更が入ることがあります。画面の並びや呼び方が変わる場合は、事前にお知らせする形にしています。不具合が出た場合も、画面から直接私たちに届く仕組みを用意していますので、気づいたことがあればそのままお伝えいただければと思います。

知識がある方にとっての価値

ここまで「知識がない・時間がないお店」を前提に書いてきましたが、すでに専任の担当者がいて、自分で分析して手を打てているお店にとっては、正直なところ「決めて出す」部分の価値はそれほど大きくないかもしれません。価値の出方が変わるというのが正確な言い方だと思います。

その場合も、広告キーワードの実測、商品情報の一括更新、クーポン発行、効果測定の自動化といった、手を速くする道具としての使い道は残ると考えています。「決めて出す」部分よりも実務のスピードに価値を感じるお店には、機能一覧を見ていただいた上で判断していただくのが誠実だと思っていますし、使いたいものが無ければ、それは正直に「合わないかもしれません」とお伝えするべきだと考えています。

実際、専任の担当者がいるお店からいただくご相談は、「何をすればいいか分からない」ではなく「手が足りない」という質問が中心になる傾向があります。楽天のクーポン設定に毎回時間がかかっている、商品ページの更新が追いつかない、複数モールの数字を横並びで比べる作業が地味に重い——そうした一つひとつの作業を減らせるかどうかで、専任担当者にとっての価値は決まってくると思います。

よくいただく疑問

承認したら、勝手にお金が動きませんか?

動くものと動かないものを、画面上で必ず区別しています。楽天・Shopifyのクーポン発行やポイント設定は承認するとそのまま実行されますが、押した直後にカードから取り消せる形にしています。セールの価格変更のように取り消しが効きにくいものは、承認を記録した上で実行画面へご案内するにとどめ、自動では実行しません。

難しい設定は必要ですか?

最初の画面は項目をあえて絞っています。「今日やること」「お店の状態」「今月の目標」「市場の動き」「データを入れる」「BEEに聞く」の6つだけで、細かい機能は道具箱にまとめてあるので、知識のある方だけがそこを開く形にしています。難しい設定を最初から求められることはありません。

今の担当者と併用できますか?

できます。担当者の方が「決めて出す」部分を使うかどうかは自由に選んでいただけますし、広告の実測やクーポン発行といった実務部分だけを使っていただくことも可能です。既存の運用体制を壊さずに、負担が大きい部分だけ任せる、という使い方も想定しています。

まとめ:完璧な体制を待たない

採用・代行・ツール、どれか一つが絶対的な正解というわけではありません。大切なのは、今出せる予算と時間の中で、できることから手をつけていくことだと私たちは考えています。3ヶ月で諦めてしまう人と3年続く人の違いにも書きましたが、完璧な体制が整うのを待っている間にも、お店の状態は動き続けています。

「担当者を採用する余裕はまだない」「代行にお願いするほどの予算は出せない」「知識がないから何をすればいいか分からない」——そのどれか一つでも当てはまるなら、一度BEEのデモ画面を見ていただくのも一つの選択肢だと思います。実際の画面の動きを見ていただいた方が、言葉で説明するよりずっと早く伝わると感じています。

私たちは代行会社として、これからもお店に直接入らせていただく形の支援を続けていきます。ただ、その手前にいるお店——予算や知識の壁で、これまで支援が届きにくかったお店にも、何かできることがあるはずだとずっと考えてきました。BEEはその答えの一つとして、私たち自身が日々のEC運用の中で実際に使いながら育てている仕組みです。ベータ版として至らないところもあると思いますが、使っていただいたご意見はそのまま機能に反映していく形にしています。完璧な体制が整うのを待つのではなく、今できることから、一緒に始めていただければと思います。

← COLUMNに戻る
その「次の一手」、もう自分で考えなくていい。

楽天・Yahoo!・Amazon・Shopifyのデータから、今週やることを根拠つきで。
承認するだけで販促まで動く、EC運用アシスタント「BEE」です。

BEEを見てみる 人に相談したい方はこちら