
売上が伸びているのに、月末になるとお金が残っていない——こういう相談、すごく多いんです。原因のほとんどは「本当の利益率」を把握できていないこと。表面上の売上だけ見てると、モール手数料・送料・広告費・人件費に気づかないうちに利益を食われています。今回は、手元に残る金額を正確に計算する方法を紹介しますね。
EC事業って、売上が伸びると「やったー!」ってなりますよね。でも、その売上がそのまま手元に残るわけじゃないんです。特にECの場合、売上が立つと同時に、裏側でいろんなコストが発生していますよね。例えば、商品が売れるたびに発生するモール手数料や決済手数料、お客さまに商品を届けるための送料、集客のための広告費……。これらが自動的に引かれていくので、気づかないうちに「あれ、こんなに売れたはずなのに、なんで手元にお金がないんだろう?」ってなっちゃうんです。
主要なECモール、例えば楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングって、それぞれ手数料体系が違いますよね。販売手数料、システム利用料、決済手数料、オプション費用、広告費など、一つ一つは小さく見えても、全部足し算すると結構な金額になっちゃうんです。
ざっくりいうと、楽天の場合は売上高の10〜15%程度、Amazonは8〜15%程度、Yahoo!ショッピングは無料〜数%(ただしオプションや広告費は別途)が、手数料の目安になってきます。これに加えて、FBA(Amazonのフルフィルメント by Amazon)みたいな物流サービスを使うと、さらに倉庫保管料や配送代行手数料もかかってきますし、決済手数料もだいたい3〜4%くらいかかりますよね。これらを合計すると、想像以上に利益を圧迫していることに気づくはずですよ。
「あのモールは手数料率が低いからお得!」って思いがちなんですけど、実は手数料率だけで比較するのはちょっと危険なんです。なぜなら、手数料が低くても、集客力が弱くて広告費をたくさん使わないといけなかったり、物流サービスが充実していなくて自社で手間がかかったり、システムが使いにくくて人件費がかさんだりすることがあるからなんです。
たとえば、Yahoo!ショッピングは販売手数料が無料なのが魅力ですよね。でも、集客のために広告費をかけたり、PayPayポイント原資を負担したりすると、結局は他のモールと変わらないくらいのコストがかかることもあります。手数料率だけでなく、「トータルでどれくらいのコストがかかって、どれくらいの利益が残るのか」という視点で考えるのが本当に大切なんですよ。
ECの本当の利益率を把握するには、売上から発生するコストを段階的に引いていくのが一番分かりやすいんです。ここでは、5つのステップで分解する計算式を紹介しますね。
まず最初に計算するのは「純売上高」です。これは、お客さまからの注文金額の合計(売上高)から、返品やキャンセルになった金額を差し引いたものですね。
純売上高 = 売上高 - 返品・キャンセル金額
意外と見落としがちなのが、この返品・キャンセルなんです。特にアパレルなんかだと、試着感覚で複数サイズを注文して返品する方もいますし、食品でも発送遅延などでキャンセルが発生することもありますよね。この段階でしっかり引いておくことが、正確な利益計算の第一歩ですよ。
純売上高が分かったら、次はその商品を作るのにかかった「原価」を引きます。これが「粗利(あらり)」と呼ばれるものですね。
粗利 = 純売上高 - 商品原価(仕入れ原価)
商品原価には、商品の材料費や製造にかかる費用、海外から仕入れている場合は関税なども含まれます。自社で商品を企画・製造している場合は製造原価、卸から仕入れている場合は仕入れ原価になりますね。この粗利が低いと、どんなに売れても利益は出にくいので、EC事業の健全性を測る上でとても重要な指標なんです。
粗利から、今度はECモールに支払う手数料や決済手数料を引いていきます。これを「モール後粗利」と呼ぶこともあります。
モール後粗利 = 粗利 - モール販売手数料 - モールシステム利用料 - 決済手数料
ECモールで販売している場合、売上に応じて発生する販売手数料や、月額でかかるシステム利用料、クレジットカード決済などに伴う決済手数料がここに含まれます。これらの手数料は、売上が増えれば増えるほど金額も大きくなる変動費なので、常に意識しておく必要がありますね。
モール後粗利から、さらに商品を販売・配送するためにかかった費用を引きます。これは「販管費(販売費及び一般管理費)」の一部ですね。
販管費後利益 = モール後粗利 - 広告費 - 送料 - 梱包材費
具体的には、リスティング広告やSNS広告、モール内広告などの「広告費」。お客さまに商品を届けるための「送料」(お客さま負担分を差し引いた、自社負担分)。そして、ダンボールや緩衝材、袋などの「梱包材費」が含まれます。特に送料は、商品のサイズや発送地域によって大きく変わるので、正確に把握しておくことが大切ですよ。
最後に、事業を運営していく上で欠かせない固定費を引くと、「営業利益」が出ます。これが、事業の本当の稼ぐ力を示す数字なんです。
営業利益 = 販管費後利益 - 人件費 - 外注費 - システム費 - その他経費
ここには、社員さんやアルバイトさんの給与などの「人件費」。物流倉庫の利用料やカスタマーサポートの外注費などの「外注費」。ECカートシステムの月額費用や受発注管理システムの利用料などの「システム費」が含まれます。家賃や水道光熱費などもここに含めることが多いですね。
これらの5段階分解の計算式をまとめると、以下のようになります。
| 段階 | 計算式 | 項目例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| **STEP1 純売上** | 売上高 - 返品・キャンセル金額 | 注文金額合計、返品・キャンセル額 | 実際の売上ベース |
| **STEP2 粗利** | 純売上 - 商品原価 | 仕入れ原価、製造原価、関税 | 商品自体の利益 |
| **STEP3 モール後粗利** | 粗利 - モール手数料・決済手数料 | 販売手数料、システム利用料、決済手数料 | モール利用にかかる費用控除後 |
| **STEP4 販管費後利益** | モール後粗利 - 広告費・送料・梱包材費 | リスティング広告、SNS広告、モール内広告、配送費、資材費 | 販売・配送にかかる費用控除後 |
| **STEP5 営業利益** | 販管費後利益 - 人件費・外注費・システム費 | 給与、外注委託費、カートシステム費用、家賃、光熱費 | 事業全体の最終利益 |
このように分解することで、どの段階で利益が削られているのか、ボトルネックがどこにあるのかが明確に見えてきますよね。
ECの利益率って、扱う商品や業種によって大きく変わるんです。ここでは、主要な業種ごとの利益率の目安を、2026年版としてご紹介しますね。あくまで目安なので、ご自身の事業に合わせて調整してくださいね。
アパレルや雑貨は、デザイン性やブランド力が重視されるため、比較的高い粗利を確保しやすい傾向にあります。ただし、トレンドの移り変わりが早かったり、返品率が高かったりするので、在庫リスクや広告費のコントロールが重要になってきますね。
食品や日用品などの消耗品は、リピート購入につながりやすいのが大きな強みですよね。粗利はアパレルほど高くなくても、継続的な売上が見込めるのが特徴です。ただ、送料の割合が利益を圧迫しやすいので、客単価アップや定期購入の促進が重要になります。
家電や家具などの高単価商品は、1件あたりの売上は大きいものの、価格競争が激しく、粗利が低い傾向にあります。また、大型商品の場合は送料も高くなりがちですし、保証や設置サービスなど、付帯コストも考慮する必要がありますね。
一般的に、EC事業として健全に運営していくためには、営業利益率が3%を下回ると赤信号と言われています。特に、高単価商品で1%台になってしまうと、ちょっとしたトラブルや予期せぬコスト増で、すぐに赤字に転落してしまうリスクがありますよね。
もちろん、事業のフェーズによっては、先行投資で一時的に利益率が低くなることもあります。でも、長期的に見てこの目安を下回り続ける場合は、コスト構造の見直しや事業戦略の再検討が必要になりますよ。
| 業種カテゴリ | 粗利目安 | モール後粗利目安 | 営業利益目安 | 赤信号ライン(営業利益) |
|---|---|---|---|---|
| **アパレル・雑貨** | 40〜60% | 30〜50% | 5〜15% | 3%未満 |
| **食品・消耗品** | 25〜45% | 15〜35% | 3〜10% | 2%未満 |
| **家電・高単価** | 15〜30% | 5〜20% | 1〜5% | 1%未満 |
このテーブルを見ながら、ご自身のEC事業がどこに位置しているのか、ぜひ確認してみてくださいね。
EC事業で利益率を圧迫しやすいコストには、特に注意が必要な「3大コスト」があるんです。これらをしっかり管理することが、利益率改善への近道になりますよ。
ECサイトでよく見かける「送料無料」って、お客さまにとっては嬉しいサービスですよね。でも、この「無料」は決してタダではなく、販売者側が負担している費用なんです。特に客単価が低い商品の場合、送料が売上に対する割合として大きくなってしまい、利益を大きく削ってしまう原因になることがよくあります。
例えば、1,000円の商品を売って送料が300円かかると、売上の30%が送料で消えちゃいますよね。これを防ぐためには、送料無料のラインを見直したり、セット販売で客単価を上げたりする工夫が必要になってきます。お客さまに送料を一部負担してもらう、という選択肢も検討する価値はありますよ。
客単価を上げたい方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね! EC顧客単価を上げる方法
EC事業にとって広告は集客の生命線ですが、使いすぎると利益を圧迫する諸刃の剣でもあります。一般的に、広告費が売上高の10%を超えるような状況は、かなり危険なサインと言われていますね。
もちろん、新規顧客獲得のために一時的に広告費を増やすことはありますが、それが常態化すると、広告に頼りきりの自転車操業になっちゃいます。広告費の効果を測る指標として「ROAS(Return On Ad Spend:広告費用対効果)」がありますが、これをしっかり管理して、費用対効果の悪い広告はすぐに停止・改善することが大切です。
特にモール内広告は、効果的な運用が求められますよね。例えば楽天RPPについて、こちらの記事で詳しく解説していますよ。 楽天RPP完全ガイド
返品やキャンセルは、純売上を減らすだけでなく、実は見えないコストもたくさん発生させているんです。
例えば、商品が返品された場合、
など、様々なコストが発生しますよね。特にアパレルなんかだと、返品率が20%を超えることも珍しくありません。返品・キャンセル率が高い場合は、商品ページの改善(サイズ表記の明確化、詳細な画像追加)、レビューの活用、カスタマーサポートの充実などで、未然に防ぐ努力が求められますよ。
利益率が低いと分かったら、次はどう改善していくかが重要ですよね。ここでは、すぐにでも実践できる現実的な4つのアプローチを紹介します。
利益率改善の基本中の基本は、やっぱり「原価率」の見直しです。
広告費は、ただ闇雲に投入するのではなく、きちんと効果を測定しながら運用することが大切です。
送料は固定費に近い性質があるので、客単価が上がれば上がるほど、売上に占める送料の割合を下げることができます。
ECモールごとの費用比較も、客単価と合わせるとより効果的です。 ECモール費用比較
不採算商品やサービスをずるずると続けてしまうと、全体の利益率を下げてしまうことになります。思い切って撤退する勇気も必要ですよ。
EC事業って、売上を伸ばすことに目が行きがちですけど、本当に大切なのは「手元にどれだけ利益が残るか」ですよね。今回ご紹介した「5段階分解の計算式」と「業種別ベンチマーク表」を使って、感覚ではなく数字でご自身の利益率をしっかり把握してみてください。
まずは、毎月決まった日に、今回紹介した5段階の利益計算をしてみる習慣をつけてみませんか? ExcelやGoogleスプレッドシートでも十分できますし、会計システムと連携できるツールを使うと、もっと効率的に管理できますよ。
「今月の売上は〇〇円、でも営業利益は△△円だったな。広告費がちょっと高かったから、来月はもう少し調整してみよう」
こんな風に、数字を見て改善策を考えるサイクルを回すことが、EC事業を成功させるための本当に重要なポイントなんです。売上だけでなく、キャッシュフローも常に意識してくださいね。 ECはキャッシュフローが命
「利益率の計算はしてみたけど、どこから改善したらいいか分からない」「広告費のROASってどうやって管理するの?」といったお悩みはありませんか?
私たちトゥエルブは、EC事業の利益改善を専門とするパートナーです。あなたのEC事業の現状をヒアリングし、具体的なデータ分析に基づいて、最適な改善策をご提案させていただきます。
EC事業の本当の利益を最大化するために、ぜひ一度、私たちにご相談ください。あなたのビジネスを次のステージへ進めるお手伝いを、精一杯させていただきますね!
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