
フェーズ1のテーマは、ずばり「勝てるモールに集中して、足元を固める」です。
2026年時点のEC市場は、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングの三つ巴が続いていますが、プラットフォームごとに費用対効果がかなり変わってきています。うちのチームでは楽天の費用対効果の現実を定期的に見直していますが、出店コストと売上のバランスがシビアになっているモールも出てきています。
フェーズ1でやるべきことは、大きく3つに整理できます。
広告費を積めば売れる時代は、じわじわ終わりに向かっていると感じています。クリック単価は上がり、広告ROASは下がり、それでも広告に依存したまま——というループを抜け出すためには、検索流入とCVRの改善に投資する必要があります。楽天であれば商品ページのCV率改善、自社ECであればモバイルページの読み込み速度と導線が最優先です。
EC事業部が「売上は立派なのに、手元にお金がない」という状態になりがちなのは、在庫・広告費・決済サイクルのタイムラグが原因です。ECのキャッシュフロー管理の考え方を事業部全体で共有しておくと、「売るべき商品」と「売れても困る商品」の判断が早くなりますよ。
GA4やモール管理画面のレポートを毎週眺めているだけで終わっていませんか? フェーズ1のうちに、数字を見て次の施策を決める意思決定フローを習慣化しておくことが大切です。データドリブンなチームは、感覚依存のチームより施策の精度が上がるのが早い——これは、うちのチームで実感していることでもあります。
フェーズ2のテーマは「自社チャネルの確立と、モール依存からの脱却」です。
2028年頃には、自社ECサイトのSEO競争がさらに激化すると見ています。「モールが全部やってくれる」という依存体質のままでは、プラットフォーム側の規約変更・手数料改定・アルゴリズム更新のたびに振り回されることになります。
フェーズ2で準備しておきたいのは以下の通りです。
自社サイトへの流入を作るには、最低でも1〜2年かかります。フェーズ1の段階から記事コンテンツや自社ドメインのSEO戦略に少しずつ投資しておくことで、フェーズ2に入ったときの立ち上がりが全然違ってきます。
モールは「新規顧客を連れてきてくれる場所」として使い、LINEやメルマガで「既存顧客を育てる」という役割分担が、2028年以降のEC事業部の基本形になっていくと感じています。リピーター比率を上げることで、広告費をかけなくても安定した売上が作れるようになりますよ。
「どこで買っても同じ商品」だと、価格競争からは逃げられません。ブランドとして選ばれるためのストーリーや世界観を、フェーズ2に向けて少しずつ積み上げておくことが重要です。D2Cブランド戦略の考え方は、モール販売をしている事業者にも参考になる視点が多いと思います。
「AIとかTikTokコマースって、うちには関係ないよね」——そう思っているEC事業部ほど、3年後に「あのときやっておけば」となることが多いんです。
2026年時点で、私たちが注目している変化は主に3つです。
商品説明文の生成、広告コピーの自動化——そういった「作業を減らす」AI活用はすでに当たり前になってきています。次のフェーズでは、売上予測・在庫最適化・顧客セグメンテーションといった「判断を助ける」AI活用が主戦場になっていきます。今のうちからデータを整理しておくと、後で活用しやすくなりますよ。
Instagramのショッピング機能とTikTok Shopは、若年層の購買導線をモールから切り崩しつつあります。TikTok ShopとInstagramショッピングの違いを理解した上で、自社の商品・ターゲットに合ったチャネルを選ぶことが大切です。どちらも試さずに「うちには向かない」と判断するのは、まだ早いと感じています。
D2Cを始めることは、楽天やAmazonをやめることではありません。モールで集客して認知を取りながら、自社サイトでリピーターを育てる——この並走モデルが、現実的かつ収益性の高い戦略です。一気に移行しようとすると売上が落ちて撤退、というパターンをよく見るので、段階的に移行することをおすすめします。
ロードマップの話をすると、「やること」ばかりが増えていく——これがEC事業部あるあるだと思います。でも正直、やることを増やすよりも「やらないことを決める」ほうが、チームのパフォーマンスは上がることが多いんです。
うちのチームで実際に「やめた」判断の例を挙げると、こんなものがあります。
「やめる」判断は勇気がいりますが、リソースを集中させることで、やること1つひとつの質が上がっていきます。EC事業部のリソースは有限ですよね。何に使うかを意識的に決めることが、5年後の差につながると感じています。
フェーズ別の優先施策を整理すると、以下のようになります。
| フェーズ | 期間 | 優先施策 | やらなくていいこと |
|---|---|---|---|
| フェーズ1 | 2026〜2028年 | 主力モールSEO強化 / CVR改善 / キャッシュフロー管理 / データ活用習慣化 | 費用対効果の低いモールへの追加出店 / 属人的フローの維持 |
| フェーズ2 | 2028〜2030年 | 自社ドメインSEO育成 / LINEリピーター基盤 / D2Cブランド構築 | モール依存のまま広告費積み上げ / 更新停止SNSアカウント維持 |
| フェーズ3 | 2030年〜 | AI意思決定支援導入 / SNS購買チャネル確立 / グローバルEC検討 | 国内モールのみに依存した売上構造 / データなしの感覚経営 |
このテーブルを見ると、フェーズが進むほど「攻め」の施策が増えていきますよね。でも、フェーズ1の「足元固め」なしに、フェーズ2・3の施策は成立しません。順番が大事なんです。
また、「今は忙しくて戦略を考える余裕がない」という状態が続いているなら、それ自体がリスクだと思ってください。3か月先ではなく3年先を見て動けるチームと、日々の対応だけで精一杯のチームでは、5年後の差は想像以上に大きくなります。3か月思考と3年思考の違いについて書いた記事も、ぜひ参考にしてみてください。
「次に何をすればいいかわからない」という状態は、現在地と目的地の間が見えていないことが原因なことが多いです。5年ロードマップを持つことで、今やるべきことが「直感」ではなく「逆算」で決められるようになります。
改めて、5年ロードマップのポイントをまとめます。
ロードマップは「完璧なもの」を作ろうとしなくていいです。今の状況に合わせて半年ごとに見直す前提で、まず粗くでも書き出してみることが大切だと感じています。
「うちのEC事業部、今どのフェーズにいるんだろう」と感じたら、まずは足元のデータを棚卸しするところから始めてみてください。現状が見えると、次の一手は意外とすんなり決まることが多いですよ。
この記事で紹介したような成果、あなたの店舗でも実現できます。
女性マーケター全員が現場に入る実行チーム。
10の質問に答えるだけ。スコアと課題が一目でわかる
完全無料のEC診断ツールです。