
6月に入ると、EC担当者の頭にちらつくのが夏商戦のことなんですよね。
楽天のお買い物マラソン、Amazonプライムデー、Yahoo!夏セール、そしてお盆ギフト需要。7〜8月は主要ECモールのセールが集中する時期で、準備が早いほど成果が出やすい季節です。
でも「何から手をつければいいの?」と迷っているうちに時間が過ぎてしまうことも多いんです。この記事では、2026年夏商戦を3モール横断で攻略するためのカレンダーと施策を、実務目線でまとめました。
まず全体像を把握するために、2026年夏の主要ECイベントを整理しました。
| 時期 | イベント | モール | 準備開始目安 |
|---|---|---|---|
| 7月上旬 | 楽天お買い物マラソン | 楽天 | 3週間前 |
| 7月中旬 | Amazonプライムデー(例年) | Amazon | 4〜6週間前 |
| 7月下旬 | Yahoo!夏セール・PayPayジャンボ | Yahoo! | 2〜3週間前 |
| 8月上旬 | 楽天スーパーSALE(例年8月ナシの場合あり) | 楽天 | 告知後即準備 |
| 8月中旬 | お盆商戦(ギフト・帰省需要) | 全モール | 7月中旬から |
| 8月下旬 | お買い物マラソン(下旬開催も多い) | 楽天 | 3週間前 |
楽天スーパーSALEは6月が終わったばかりですが、次回8月開催が確定している場合は即準備スタートが正解です。6月に入賞した店舗は「何をやったか」を振り返って再現できる状態にしておきましょう。
詳しい楽天SS攻略については楽天スーパーSALE攻略チェックリストも参考にしてください。
お買い物マラソンは「10店舗以上でお買い物するとポイント倍率がどんどん上がる」仕組みです。ユーザーが複数店舗を回遊する動機が強く、新規顧客が入りやすいイベントでもあります。
マラソン終了後48時間以内に以下を確認しておくと、次回に活かせます。
Amazonプライムデーは毎年7月中旬に開催される、Amazon最大のセールイベントです。2025年は7月8〜9日、2024年は7月16〜17日と、年によって日程が変わります。公式発表前から準備を始めておくことが重要で、告知後では間に合わないこともあります。
| 準備項目 | タイミング | 詳細 |
|---|---|---|
| タイムセール申請 | 6〜8週間前 | セラーセントラルのライトニングディール申請枠を確保 |
| 在庫補充 | 4〜5週間前 | FBA倉庫への入庫をプライムデー2週間前までに完了 |
| 商品ページ最適化 | 4週間前 | A+コンテンツ更新・メインビジュアル刷新 |
| 広告入札調整 | 2週間前 | スポンサープロダクト広告の入札単価を20〜30%UP |
| クーポン設定 | 1週間前 | プライムデー専用クーポンを準備(最低5%OFF) |
プライムデーはFBAを使っている店舗が圧倒的に有利です。「在庫切れ→機会損失」が最大のリスクなので、在庫補充は早め早めに動いてください。
プライムデー期間中に急増したレビュー・Q&Aへの対応も、長期的な売上に効きます。セール後1週間以内にレビューへの返信を済ませておくと、信頼性向上につながります。
Yahoo!の夏セールは、PayPayキャンペーンとの連動が最大の特徴です。「PayPay払いでポイント還元率◯倍」というキャンペーンが重なるタイミングを狙うと、購買意欲が高いユーザー層に刺さります。
お盆は「帰省土産・法要用品・夏ギフト」の3つの需要が重なる特殊な時期です。通常の夏セール施策とは別に、ギフト対応の整備が売上の分かれ目になります。
お盆後の8月下旬〜9月は、多くのEC店舗が売上の谷を経験します。ここで無策のまま待つのではなく、9月のシルバーウィーク商戦の仕込みをお盆後すぐに始めるのが賢い動き方です。
お盆の準備は「チェックリストを作る」まではできても、いつ何をやるかが決まっていないと結局直前に慌てます。連休初日を基準に逆算した形で書きます。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 7日前 | 配送会社の休業日を確認し、連休前の最終出荷日を確定する |
| 6日前 | 出荷スケジュールの告知文を作成(具体的な日付と時刻を入れる) |
| 5日前 | 告知を4箇所に設置:商品ページ上部・カート画面・サンクスメール・SNSプロフィール |
| 4日前 | 主力20商品の在庫を確認。連休をまたげない分は販売を止める判断をする |
| 3日前 | レビュー依頼メールを停止。連休中の予約投稿を仕込む |
| 2日前 | 広告予算の上限を設定(連休中に消耗しないよう) |
| 前日 | 問い合わせの自動返信に休業期間と再開日を追記 |
この中で飛ばされがちなのが「前日の自動返信の書き換え」です。ここが通常のままだと、連休中に届いた問い合わせに何の案内も返らず、連休明けに「返信がない」というクレームから始まることになります。1行足すだけの作業なので、忘れないようにリストに入れておく価値があります。
それから4日前の「販売を止める判断」。売れるものを止めるのは抵抗がありますが、連休中に受注だけ積み上がって出荷できないと、キャンセルと低評価に変わります。売り逃しの損失と、低評価が残る損失を比べるという考え方をしておくと判断しやすくなります。
楽天・Amazon・Yahoo!を同時に動かすときの最大の課題は「人と時間が足りない」ことです。以下の分担設計で効率化できます。
| タスク | 楽天 | Amazon | Yahoo! | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| クーポン設定 | マラソン3週間前 | プライムデー1週間前 | セール2週間前 | 各管理画面で手動設定 |
| 広告入札調整 | 開催1週間前+2 | 2週間前+2 | 開催前週 | 週次でレビュー |
| 在庫確認 | 月次でOK | 4〜5週前に必須 | 月次でOK | FBAは早め対応 |
| 商品ページ更新 | セール2週間前 | 4週間前 | 2週間前 | 共通素材を先に作る |
商品ページの画像やコピーは3モール共通で使い回せる素材を作ると工数が大幅に減ります。「楽天向け」「Amazon向け」を別々に作るのは非効率なので、まずベース版を1つ作ってから各モールの仕様に合わせて微調整する流れが効率的です。
楽天とYahoo!の違いと使い分けを把握しておくと、優先順位の判断がしやすくなります。
夏商戦の記事はどこも「準備」の話で終わるのですが、実務でいちばん差がつくのはセールが終わった直後の3日間だと感じています。ここを流すと、せっかく増えた新規のお客さまが1回で終わります。
やることは3つです。
1. 出荷を最優先で片づける(当日〜翌日)
セール中に受注が膨らむと、出荷が数日遅れます。この遅れがそのままレビューの星に反映されます。セール直後は新しい施策を打たず、出荷だけに人を寄せる方が結果的に得です。低評価が1つ付くと、次のセールでの転換率まで落ちます。
2. レビュー依頼のタイミングを商品が届いた後にずらす(3〜7日後)
セール直後にレビュー依頼を送ると、まだ届いていない人に届きます。配送完了から2〜3日後に送る設定にしておくと、同じ依頼数でも回収率が変わります。手動で送っている場合は、セール期間中の注文だけ送信日を後ろにずらしてください。
3. 新規で買ってくれた人に、2回目の理由を渡す(7日以内)
セールで初めて買った人は「安かったから」買っています。ここに何もしないと、次も安いときしか来ません。次回使えるクーポンではなく、その商品の使い方や活用例を送る方が、価格以外の理由が残ります。クーポンを送ると「クーポンがないと買わない人」を育ててしまうので、私たちは使い方の案内を先に出すようにしています。
夏商戦のあと、9月は毎年落ちます。イベントが少なく、消費が年末に向けて一度止まる時期だからです。ここを「季節だから仕方ない」で終わらせている店舗が多いのですが、8月中に手を打っておくと落ち込み幅を抑えられます。
| 時期 | やること | 狙い |
|---|---|---|
| 8月中旬 | 夏商戦で売れた商品の在庫を9月分まで確保 | 売れ筋を切らさない。9月に欠品するのが一番もったいない |
| 8月下旬 | 秋物・新生活以外の「通年商品」をページ上位に入れ替え | 季節商品が落ちる分を通年商品で埋める |
| 8月下旬 | 夏商戦の新規顧客にメルマガ・LINEで再訪の理由を送る | 9月の指名購入を作る |
| 9月上旬 | 広告予算を絞り、CPAの良いキーワードだけ残す | 需要が落ちる時期に予算を消耗しない |
| 9月中旬 | 年末商戦の準備を開始(画像・在庫・スケジュール) | 10月からでは間に合わない |
いちばん効くのは9月上旬の広告調整です。需要が落ちている時期に夏と同じ予算を流すと、獲得単価だけが上がります。ここで浮かせた予算を年末商戦に回す、という配分にしておくと年間で効いてきます。広告予算の配分の考え方はEC広告費の正しい予算配分で整理しています。
記事の前半で3モール並走のオペレーションに触れましたが、実際にいちばん詰まるのは人の割り当てです。2〜3人でやっている店舗が、セール期間中に何を誰が持つかを決めておくための考え方を書きます。
私たちがおすすめしているのは「モールで分ける」ではなく「工程で分ける」やり方です。
モールごとに担当を分けると、楽天担当が忙しいときにAmazon担当が手空きになる、という無駄が出ます。工程で分ければ、忙しい工程に人を寄せられます。さらに「設定は前半、出荷は後半に忙しくなる」という時間差があるので、同じ人数でも回しやすくなります。
もう一つ決めておきたいのが判断の権限です。セール中は「在庫が減ってきたが値下げを続けるか」「広告予算を追加するか」といった判断が毎日発生します。ここを毎回相談していると止まるので、「1日○円までは担当が判断していい」という上限を先に決めておくと速度が落ちません。
人手が足りない状態でセールを回し切るのが難しい場合は、外部に工程単位で任せる選択肢もあります。社員を増やす場合との比較はEC運用代行の費用を社員1人のコストと比べた記事にまとめています。
夏商戦は毎年来ます。今年の記録を残しておくと、来年の準備が半分の時間で終わります。逆に残していないと、毎年ゼロから同じ議論を繰り返すことになります。
残すのは4つだけで十分です。
4番目を書き残している店舗はほとんどありません。でも「今年やって効かなかったこと」の記録が、来年やらないことを決めてくれます。成功例だけ残すと、施策が毎年増えて現場が苦しくなります。
ちなみに1番目の「その日にやっていたこと」は、売上の数字だけ残していても後から思い出せません。クーポンを何%で出したか、広告をいくら入れたか、メルマガを何時に送ったか。数字と施策をセットで残しておかないと、来年「なぜこの日が伸びたのか」が説明できなくなります。
形式はスプレッドシート1枚で構いません。セールが終わった週のうちに、30分だけ時間を取って書く。記憶が新しいうちに書かないと、9月には誰も覚えていません。私たちも社内で何度か「来週やろう」で流してしまったので、いまはセール終了日に予定として入れています。
夏商戦で差がつくのは、セール期間中の動きよりも事前準備の質なんです。
特に重要なのは、在庫補充・商品ページ更新・広告設定の3つを「イベント日の2〜4週間前までに完了させる」こと。セール直前に慌てて設定変更すると、審査通過が間に合わないケースも出てきます。
今月(6月)中に夏商戦の全体スケジュールを組んで、各担当に落とし込んでおくと、7月以降を余裕を持って動けますよ。
楽天・Yahoo!・Amazon・Shopifyのデータから、今週やることを根拠つきで。
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